【処遇改善加算】ここが沼2〜変動売上の業界で、固定的人件費をどう設計するか〜
訪問介護の処遇改善加算は、「職員へ還元するための制度」。
その趣旨自体に、異論のある事業所さんは少ないと思います。
ただ、実際の訪問介護現場では、
「毎月の賃金改善」と、「毎月変動する売上」
の間で、予実管理に悩む場面もあるのではないでしょうか。
今回は、イメージしやすくするため、東京都港区の訪問介護事業所(処遇改善加算Ⅳ)をモデルに、考えてみます。
すんごく端折ると、Ⅳって、「一番弱めの加算」くらいのイメージと思ってもらえれば。
※あくまでモデルケースです。実際の加算額・賃金改善額は、地域区分・稼働率・職員構成等により変動します。
東京都港区の訪問介護は、地域区分により、1単位11.40円。
例えば、身体介護30分以上1時間未満(387単位)の場合、
387単位 × 11.40円 = 約4,412円
となります。
仮に、ヘルパー1人が、
・1日5件訪問 ・月20日勤務
すると、約44万円/月。
ヘルパーさん10名なら、売上は約440万円です。
ここで、処遇改善加算Ⅳ(17%)を算定すると、
約74万円程度の加算収入。
「えっ、こんなにいただけるの?!」
と感じるかもしれません。
ここまでは、「職員さんへしっかり還元できそう」に見えます。
ただ、ここからが沼なのかなと。
訪問介護は、
・利用者さんの入院
・体調不良等によるキャンセル
・利用終了
・ヘルパーさん退職
などで、毎月売上が変動しやすいと思います。
例えば、翌月売上が、
440万円 → 350万円
に減少した場合。
加算額も減少します。
しかし、一度増やした固定手当は、簡単には下げにくい気がします。
ここに、処遇改善加算の予実管理の難しさがあるように感じます。
これは、制度が悪いと言っているのではなく、継続的な処遇改善を目指す制度だからこそ、
「変動売上の業界で、固定的人件費をどう設計するか」
という、経営上の難しさが発生する。
ここが、訪問介護現場のリアルなのかもしれません。
昔、日商簿記1級や証券アナリスト試験で見た、「損益分岐点」や「利益の感応度」みたいな話を、訪問介護の現場で感じるとは思いませんでした。
※次回、「3月まとめて支給ではダメ?」を整理してみたいと思います。
みなとも社労士事務所の介護事業所顧問契約では、処遇改善加算の計画書や実績報告書だけではなく、賃金制度のご提案やBCP研修等も対応可能です。
